鉄道密度が日本と同程度で高い、オランダ鉄道。
鉄道密度=鉄道延長÷国土面積、日本699km/1万㎢(世界8位)、オランダ689km/1万㎢(世界9位)
4大都市(アムステルダム、ロッテルダム、デン・ハーグ、ユトレヒト)を相互に結ぶ路線を中心に、オランダ国内の各都市を縦横に結んでいる。
オランダ都市人口ランキング
1 アムステルダム 87万人
2 ロッテルダム 65万人
3 デン・ハーグ 54万人
4 ユトレヒト 35万人
●距離、時間、料金の目安
北のフローニンゲン(Groningen) ~ 南のマーストリヒト(Maastricht)
距離:340km
時間:4時間12分(2度乗り換え、乗り換え時間total25分含む)
料金:27ユーロ(2nd_class、1ユーロ=123円、2020.11.24現在)
[出所:オランダ鉄道HP]
●鉄道延長
約2,800km(うち、電化~3/4、複線~2/3)
●主な鉄道網
【南高速線】
ベルギーの首都ブリュッセル ~ ロッテルダム ~ アムステルダム・スキポール空港
最高速度300km/hのオランダ最初の高速新線、2009年12月に開業。
●上下分離方式
下部(インフラ)の保有・管理と上部(運行)の運営を行う組織を分離し、下部と上部の会計を独立させる方式。
【プロレール(ProRail)】
国営企業、線路や駅などの鉄道施設(インフラ)を保有・管理。
【オランダ鉄道(N.V. Nederlandse Spoorwegen)】
国有企業、旅客列車の運営を行う。
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【レイリオン・ネーデルラント(Railion Nederland BV)】
貨物列車の運営を行う。
1999年にドイツ鉄道の貨物輸送部門レイリオン社に売却された。
本社はいずれもオランダ第4の都市で鉄道網の中心と言われるユトレヒトにある。
●1839年、オランダ最初の鉄道が、アムステルダム⇔ハールレム(Haarlem)で開業。
●1860年から鉄道の国有化が始まり、1917年にオランダ国鉄が発足している。
●国際列車:
近隣諸国の都市を結ぶ国際列車の拠点となっている。
特にパリ(フランス)・ブリュッセル(ベルギー)・アムステルダム(オランダ)という、3つの国の首都を結ぶ路線は、3都市の頭文字を取って “PBA” と呼ばれている。
タリスやICEのような高速鉄道が乗り入れている。
【タリス】
パリ・ブリュッセル・アムステルダムを結ぶ列車で、TGV(フランス国鉄が運行する高速鉄道の車両)タイプのタリス型車両(最高速度、300km/h)を使用する。
1日5~7往復が運転されている。
運営はタリス・インターナショナル社(仏)が行う。
アムステルダム中央駅からパリ北駅までの所要時間は約4時間である。
例.
Amsterdam Centraal → Paris Nord(パリ北駅)
3h55m
135ユーロ(2nd class)
[出所:オランダ鉄道HP]
【ICE】
アムステルダムと、ドイツのケルン・フランクフルトを結ぶ列車で、ドイツ鉄道のICE3型車両を使用する。
1日6~7往復が運転されているが、1往復はスイスのバーゼルまで運転される。
アムステルダム中央駅からケルン中央駅までの所要時間は約2時間40分である。
例.
Amsterdam Centraal → Frankfurt(Main)Hbf(フランクフルト中央駅)
5h35m
49.9ユーロ(2nd class)
[出所:オランダ鉄道HP]
【インターシティ】
アムステルダムと、ドイツのハノーファー・ベルリンを結ぶ列車で、1日4往復が運転されている(1往復はポーランドのシチェチンまで運転)。
例.
Amsterdam Centraal → Berlin Hbf(ベルリン中央駅)
6h21m(ハノーファー乗換13min含む)
44.9ユーロ(2nd class)
[出所:オランダ鉄道HP]
飛行機と比べてみると・・・
アムステルダムスキポール空港→ベルリンブランデンブルク空港
1h30m
3,600円
(with skyscanner)
●国内列車:
都市間を相互に結ぶ列車が多数設定されている。
国内のみの列車は座席指定などがない(最上位のIntercityであっても)。
Intercity
日本の「特別快速」に相当する。
主要駅だけに停車する。
Sneltrein
日本の「快速」に相当する。
Intercity よりも多くの駅に停車する。
Sprinter・Stoptrein
日本の「普通」に相当する。
各駅に停車する。
ランドスタット地域(アムステルダム・ロッテルダム・デン・ハーグ・ユトレヒトのある地域)で運用される電車を 特に”Sprinter” という。
基本的には信用乗車方式を採用しているため、駅に改札機は設置されていないか、設置されている駅でも改札機を通らずに駅構内に入ることができる。
切符は駅構内の券売機か発券窓口で購入することが求められ、列車内や下車駅での運賃精算には高額な罰金が課される場合がある。
発券窓口で購入する場合は手数料(Transactiekosten 0.50EUR)が掛かるが、自動券売機で購入する場合は手数料は徴収されない。
自転車の持込には別途自転車持込券を購入する必要があるが、日本のように輪行袋に入れる必要性は無く車内にそのまま持ち込める(ただし通勤時間帯は持込不可)。
信用乗車方式とは・・・
公共交通機関を利用する際、乗客が乗車券を自己管理することで駅員や乗務員による運賃の収受や乗車券の改札を省略する方式。
シェンゲン条約により、周辺諸国との間の国境審査・税関検査は基本的には存在しない。
平時にはEU身分証明書やパスポートなどの確認は列車内や駅構内で行われることはない。
また国際列車の切符購入時に身分証明書の提示を求められることもない。
シェンゲン協定とは・・・
ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定。
(シェンゲン協定を締結している国↓)
(出所:EU MAG(http://eumag.jp))
電化率が高いことや、運転区間が比較的短いこと、都市間連絡を主とすることから、ヨーロッパの鉄道としては珍しく、古くから電車が主力。
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