中国では、体制を維持安定するために情報統制が行われています。インターネット通信においても通信は監視されており、このシステムはグレート・ファイアウォールと呼ばれています。
グレート・ファイアウォールにより、中国ではGoogleやLINEなどが使用でません。ここでは、中国でのインターネット規制と対策法について述べていきます。
大規模情報検閲システム「グレート・ファイアウォール」
中国では、社会の安定維持や共産党の支配強化などを目的として、情報統制が行われています。新聞、テレビ、ラジオといった主要メディアは厳しく管理され、政府に批判的な言論に対しては取り締まりが行われています。
インターネット通信においても情報の統制や国内IT産業の保護等を目的に、通信は監視され必要に応じて規制や遮断がなされています。このインターネット検閲システムは1998年から運用されており、グレート・ファイアウォールと呼ばれています。
グレート・ファイアウォールにより、ホテルや飲食店でWi-Fiを利用したり現地のSIMカードを使用したりすれば、閲覧を監視されます。中国ではインターネット上での発言等により投獄された市民が多くおり、たとえば1989年の民主化運動である「天安門事件」、国家体制に反する「反共産主義」や「民主主義」、国家の主権に係わる「台湾問題」や「チベット問題」といった言葉を検索すると政府機関から問題視されます。
日本で利用しているインターネットサービスは使えない
中国ではグレート・ファイアウォールによって様々なインターネットサービスが規制されています。日本で多くの方に利用されている以下のサービスも規制を浮けており利用できません。
・SNS~Facebook、X、Instagram
・メッセージアプリ~LINE
・動画サイト~YouTube、Netflixなど国外のVODサービス
・その他~Gmail、Wikipedia、Spotify、Yahoo!ニュース
上にGoogle、YouTube、Gmailがあるように、中国ではGoogle関連サービスをすべて使うことができません。日本では、非常に多くの人がGoogleやLINEを利用しているので、これらを使えないのは非常に不便です。
また、中国国外のVODサービスも視聴できないため、中国滞在時にはお気に入りの動画コンテンツも我慢しなければなりません。
対策
旅行などで中国に滞在する際には、グレート・ファイアウォールにより日本で使用しているインターネットサービスを利用できないことがあります。しかし、以下のような方法によりグレート・ファイアウォールを回避することができます。
②日本で、レンタルWi-Fiを用意する
③日本で、SIMカードやeSIMを購入する
日本国内で中国旅行用として提供されているこれらのサービスのほとんどは、ローミングやVPNという技術によりグレート・ファイアウォールを回避できます。
①日本で、携帯電話の海外ローミングプランに入る
日本の携帯キャリア等では海外データローミングを提供しています。ローミングは、携帯電話などのユーザーが、契約している通信事業者のサービスエリア外に移動した際に、他の通信事業者のネットワーク設備を借りて通信サービスを利用する仕組みです。
グレート・ファイアウォールは、中国国内の通信ネットワークを監視の対象としており、日本の携帯キャリア等を含んだネットワークを直接の対象とはしていません。そのため、日本で、携帯電話の海外ローミングプランに入っておけば、中国に入国してすぐにGoogle等を含めてインターネットを利用できます。
海外データローミングには、以下のような特徴があります。
✓渡航先でスマートフォンのデータローミング設定を「ON」にするだけで使える。
✓SIM交換は不要。
✓携帯キャリア等で、24時間単位の定額料金プランが提供されており、1,000円/24時間程度(日本での事前申し込みが必要)。
✓定額プランに申し込んでいなければ、使った分だけ費用が掛かる従量課金制になる場合があり、高額請求されることがあるので注意が必要。
②日本で、レンタルWi-Fiを用意する
レンタルWi-Fiは、海外旅行の際によく利用されています。日本で中国旅行用のものを借りると、現地でGoogleやLINEを使うことができます。
これは、中国旅行用とされているレンタルWi-Fiは、VPN対応しているためです。VPNはVirtual Private Networkの略で、インターネット上に仮想的な専用線を構築し、通信を暗号化して安全にデータを送受信する技術です。
VPNに対応していれば、グレート・ファイアウォールを回避してインターネットに接続ができます。中国旅行用に限りませんがレンタルWi-Fiの特徴は以下のとおりです。
✓1台で複数人がシェアできる。
✓空港で受け取って返却ができる。
✓レンタルWi-Fi本体が荷物として増える
✓返却期限を超過すると延滞料がかかる
③日本で、SIMカードやeSIMを購入する
海外旅行でインターネットを使うために、渡航先用のSIMカードやeSIMはよく利用されています。日本で中国用として売られているSIMカードやeSIMは、中国以外の通信事業者を介するようになっているので、グレート・ファイアウォールの影響を受けません。
そのため、GoogleやLINEを問題なく使うことができます。中国用に限りませんが、SIMカードやeSIMの特徴には、以下のようなものがあります。
✓プランの種類が豊富で無制限プランもある
✓eSIMなら設定までオンラインで完結する
✓SIMフリー端末以外では使えない
まとめ
中国では、体制を維持安定するために情報統制が行われています。インターネット通信においても通信は監視されており、このインターネット検閲システムはグレート・ファイアウォールと呼ばれています。
グレート・ファイアウォールにより、中国ではGoogleやLINEを使用できず、旅行の際には不便に感じます。その場合には、日本で提供されている海外ローミング、レンタルWi-Fi、SIMといったサービスを準備しておくと、日本と同様にインターネットが使えます。