台湾はどんなところ?地域の基本情報を紹介

台湾 基本情報
Jerry Lai, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

台湾は、日本人が多く訪れている国・地域で近年上位にランクされる人気の渡航先となっています。以下では、台湾の基本情報を紹介します。

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地域の概要

台湾は、国家の三要素(領土、国民、主権)を完全に満たしていますが、日本を含め世界のほとんどの国から独立国家と認められていません。その理由は、「一つの中国」の原則をめぐって、中華人民共和国が台湾を国家として承認しないよう他国に圧力をかけているためです。

国旗

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青天白日満地紅旗(せいてんはくじつまんちこうき)と呼ばれます。国旗の左上に描かれている青天白日の紋章は、中華民国(通称:台湾)の国章。
1928年に蔣介石が中華民国南京国民政府(今日の中華民国政府の前身)を成立させた際に初めて正式に採用されました。赤・青・白の3色で構成されていますが、これは孫文の三民主義(民族の独立、民権の伸長、民生の安定)に由来。
赤は民族主義と同時に革命に身を捧げた人々の血と友愛を、青は民権主義と同時に自由を、白は民生主義と同時に平等をそれぞれ象徴しています。同時に、青天白日の紋章は、青は空を、12本の光芒からなる白日(白い太陽)は1年の12か月と十二支、十二宮、十二刻を表し、中華民国の絶え間ない進歩を象徴しています。

歴史

台湾には少なくとも7000年前から人が住んでいたとされています。台湾以南の東南アジア島嶼部や太平洋の島々に住んでいた人々が、台湾に漂流し台湾の住民となったと考えられています。

台湾が世界に認識されるようになったのは16世紀頃で、それまでは先住民と中国大陸から渡ってきた一部の漢民族が静かに暮らす名もない島でした。17世紀にはオランダやスペインが進出し、台湾を植民地化。

その後、清朝が統治するようになり、1895年の日清戦争で清朝が敗北した結果、台湾は日本に割譲されました。台湾の日本による統治は、1945年まで50年間続きました。

第二次世界大戦に日本が負けると、台湾は中華民国の統治下に置かれました。当時の中華民国は、政権を握っていた国民党と勢力を伸ばしていた共産党との間で国内統一を争う内戦(国共内戦)が起きていました。

国共内戦に勝利した共産党は現在の1949年に中華人民共和国を樹立、敗れた中華民国政府は台湾に撤退しました。

以降、台湾は経済発展と民主化を遂げ、現在では事実上の独立状態にありますが、中国は台湾を自国の一部と主張し、緊張が続いています。

実行支配地域

中華民国は、台湾島、澎湖諸島、金門島、馬祖島、烏坵島、東沙諸島、南沙諸島(太平島、中洲島)を実行支配(実質的に統治)しています。
南海諸島(東沙諸島、南沙諸島)を除いた行政区画図は、以下のとおりです。(東沙諸島は台湾島から南西に400km、南沙諸島は南に1500km離れたところにあります。)

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国際関係

国際連合における中国代表権は、中華人民共和国にあります。台湾は、日本、アメリカ、イギリス、フランス等主要国とは正式な国交はありません
しかし、非政府組織の窓口機関を通じて外交業務を行っているため、事実上の国交があると言える状態にあります。世界貿易機関 (WTO) のように、主権国家ではなく、領域を代表するものとして中華民国政府の加盟を認めた国連機関もあります。

人口

2,356万 (2020年)

都市別の人口ランキングは以下のとおりです。
_1 新北市 409万人
_2 高雄市 277万人
_3 台中市 274万人
_4 台北市 270万人
_5 桃園市 210万人
_6 台南市 188万人
_7 新竹市 _43万人
_8 基隆市 _37万人
_9 嘉義市 _27万人
10 彰化市 _23万人
以上、上位10都市を掲載(2015年値)。

首都

台北市

台北市は、周囲の新北市と基隆市を含めて、台湾最大の都市圏である台北都市圏を形成しています。台北都市圏は、人口700万人超で台湾全体の3割が集中し、総面積は2万4千平方キロメートルに及びます。
これは、都市圏としては世界第46位(2024年現在)の規模となっています。

位置(気候帯)

台湾は北緯22~25度に位置しています。北部の台北市(北緯25度)は温帯(俗に言う亜熱帯)、南部の高雄市(北緯22度)は熱帯モンスーンとなっています。

気温と降水量

主な都市の気温と降水量は以下のとおりです。

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出所:台湾気象局

民族

台湾は多民族国家国民で、住民は大きく漢民族と原住民に分かれます。漢民族の多くは、17世紀初頭に台湾開拓のために移住した人たちの子孫で、人口の多くを占めています。
また、中華民国政府が認定した原住民は、16民族55万人弱であり全人口の約2%です。

著名人

蔡英文(前総統)
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頼清徳(総統)
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總統府, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

言語

台湾の公用語は中国語(標準中国語)で、台湾人と中国人の会話は基本的には通じます。標準字体は正体字(繁体字)と呼ばれる簡略化されていない漢字の字体です。

謝謝(ありがとう)

宗教

台湾の宗教は多様で、仏教35%、道教33%、民間信仰(儒教等)10%、キリスト教4%、その他18%となっています。
(出所:CIAのザ・ワールド・ファクトブック〈2005年調査))

経済

台湾の経済状況はどうでしょうか。代表的な経済指標等で見てみます。

一人当たりGDP

GDPは、国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況を表します。台湾は25,873ドル(2019年、世界38位)、日本は40,256ドル(2019年、世界25位)となっており、台湾は日本の2/3程度です。
(数値はIMF統計に基づく。)

物価

「マーサー2020年世界生計費調査」によると、台北市の生計費は、調査209都市中28番目に高いとされています。ちなみに、この年の1位は香港、3位は東京、26位が名古屋となっています。
マーサーは、リスク、戦略、人材分野の世界的なコンサルティング会社で、毎年発表している生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査のひとつとされています。「マーサー2020年世界生計費調査」は、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬や手当を設定する際に利用されています。

通貨

日本では、台湾の通貨を、新台湾ドル、ニュー台湾ドル 、あるいは、台湾元と呼んでいます。日本円との為替レートは、1ニュー台湾ドル=4.55円(2024年8月現在)で、直近10年の傾向としては、円安台湾元高となっています。

レートが良い両替所

日本での両替はレートが悪いので、現地に入ってから両替した方がお得です。現地で比較的レートが良いのは、銀行、郵便局、空港です。
銀行と郵便局は平日の日中しか営業していないので注意が必要です。できれば、到着したらとりあえず必要な分を空港で両替すると安心です。
また、他国に見られるような街中の両替所は少ないです。

交通

台湾の主な交通機関を紹介します。

主な国際空港

日本との直行便がある主な国際空港は、以下のとおりです。

国際空港

主な日本の就航都市

台湾桃園国際空港台北市
(桃園市) 

東京/成田・東京/羽田・大阪/関西・名古屋/中部・札幌/新千歳・etc.

台北松山空港
(台北市)

東京/羽田

高雄国際空港
(高雄市)

東京/成田・大阪/関西・札幌/新千歳・etc.

台中空港
(台中市)

東京/成田・etc.

台南空港
(台南市)

大阪/関西

主な都市間交通

台湾島は、南北の最長距離が約400km、東西の最長距離が約150kmで、九州とほぼ同じ面積です。主な都市間交通には、鉄道とバスがあります。

【鉄道】

西部幹線、南廻線、東部幹線の「環島鉄路」(台湾一周鉄道)が開通しています。西部幹線は、基隆から高雄までを結ぶ全長約370kmの縦貫線と、高雄から坊寮までの全長約60kmの屏東線からなる幹線。
南廻線は、坊寮から台東まで約100kmの路線。東部幹線は、花東線(花蓮~台東)と北廻線(台北~花蓮)とからなる幹線で、全長は約350kmです。
台湾には、国営の台湾鉄道と民営の台湾高速鉄道があります。台湾鉄道は台湾島を一周しており、台湾高速鉄道は北部の台北市と南部の高雄市を結んでいます。
軌間(軌道の幅)は、台湾鉄道が1067mmで日本の在来線と同じ、台湾高速鉄道が1435mmで日本の新幹線と同じとなっています。西部の都市は、台湾鉄道と台湾高速鉄道が通じていますが、駅は両方の駅を兼ねていたり、別にあったりします。
台湾鉄道と台湾高速鉄道については、以下の記事に詳述しています。

台湾鉄道 & 台湾高速鉄道
/世界の鉄道
| その他
台湾の長距離旅客鉄道は、台湾鉄道と台湾高速鉄道。

【バス】

台湾では、市内を運行する路線バスを「公車」、中長距離輸送の高速バスを「国道客運」と呼びます。また、バス停は、「站」と表記されます。
運行本数は極めて多く、運賃も空路や鉄路より安いため、台湾では利用頻度の高い交通手段となっています。

観光

台湾を観光で訪れる際に把握しておきたい情報です。

世界遺産

台湾(中華民国)は、国際連合から脱退しているため国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)への加盟を認められていません。そのため、世界遺産が一つも登録されていません
しかし、世界遺産登録を目指す動きが活発化しており、2003年には行政院が世界遺産登録候補地として12か所を選定しています。
2017年時点では18件が候補地として認定されています。

【世界文化遺産(12)】

阿里山森林鉄道
嘉義市・嘉義県・南投県 に現存する森林鉄道です。阿里山および玉山観光の足としても利用されています。
阿里山は大塔山や祝山など10以上の2000m級の山の総称で、玉山は標高3952mの台湾最高峰です。

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Huaiwun, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

台鉄旧山線
旧山線は、台湾鉄路管理局台中線(山線)の旧線区間を指します。起点は三義駅(苗栗県)、終点は豊原駅(台中市)で、駅数は4駅。
旧山線は廃線となりましたが、その結果、かえって独特の景観が保存されることとなりました。

楽生療養院
1930年建設のハンセン病の療養所で、新北市に所在します。

水金九鉱業遺跡
「水金九」は、「水湳洞」「金瓜石」「九份」のことで、いずれも19世紀末から100年ほど採掘されていた鉱山遺跡と鉱山町で、金、銀、銅の採掘でにぎわいました。特に、九份は映画「千と千尋の神隠し」の舞台のモデルとも言われており、人気です。
3つの町は、新北市に所在します。

烏山頭ダムと嘉南大圳
「圳」は用水路を意味し、いずれも日本統治時代に水利施術者・八田與一が手がけました。台南市に所在しています。

桃園(とうえん)台地の埤塘(ひとう)
埤塘はため池のことで、18世紀以来数多く形成され、八田與一らがより優れた仕組みに再編成しました。

卑南(ひなん)遺跡と都蘭山(とらんざん)
先史時代の遺跡群で、台東県に所在します。

排湾族と魯凱族の石板屋集落
台湾原住民の伝統的な集落です。

金門島戦地文化
金門島に残る伝統的漢人集落、東南アジア系のコロニアル建築、戦争遺跡などで構成されます。

淡水紅毛城と周辺歴史建築群
紅毛城は、オランダ人(紅毛人)が17世紀に建設した要塞のことで、周辺には、洋風建築を含む様々な時代の建造物群が独特の街並みを形成しています。新北市に所在します。

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Wikia1974, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

馬祖島戦地文化
馬祖島も金門島と同じように軍事施設が残っていますが、金門島と違い実際に戦場にならなかった分、伝統的な建築も含めて良好に残存しています。

澎湖石滬群(ほうこせきこぐん)
石滬は潮の干満の差を利用して魚を取るための石垣で、新石器時代にまで遡るとされる伝統的漁撈設備です。澎湖縣に所在します。

【世界自然遺産(5)】

玉山国家公園
玉山は、台湾最高峰の3,952mで、台湾のほぼ中央部に位置します。

太魯閣国家公園
台湾の中でも特に優れた景観とされており、花蓮県、台中市、南投県に所在します。

棲蘭山檜木林
宜蘭縣、新竹縣、桃園縣、新北市の4県にまたがるヒノキ森林地区です。

大屯山火山群
台湾の火山地形や生態系が最もよく現れています。台北市に所在。

澎湖玄武岩自然保留区
柱状節理や海蝕地形など、澎湖に残る多様な玄武岩地形です。澎湖縣に所在。

【世界複合遺産(1)】

蘭嶼集落と自然景観
蘭嶼(らんしょ)は台湾本島の南東沖にある周囲40kmの孤島です。台東県蘭嶼郷に所在。

チップの習慣

台湾にはチップの習慣はありません。

ビザ

台湾は、日本人に対し、観光等の目的で90日以内の滞在については査証を免除しています。詳細は、大使館に相当する台北駐日経済文化代表処ウェブサイトを確認してください。

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パスポート(旅券)

査証免除に必要な書類として、日本旅券の保有者は、旅券の残存有効期間が「予定滞在日数以上」とされています。このほか、台湾から帰国するための予約済み航空(乗船)券または次の目的地への航空(乗船)券およびその有効査証の提示が必要とされています。
航空会社によっては、日本での搭乗手続きにあたり、復路の航空券等の不足を理由に搭乗を拒否されることもありますので留意してください。

外務省 海外安全ホームページ
海外に渡航・滞在される方々が自分自身で安全を確保していただくための参考情報を公開しております。

危険情報

外務省によると、渡航にあたっての危険情報は出されていません(2024年8月現在)。

外務省 海外安全ホームページ
海外に渡航・滞在される方々が自分自身で安全を確保していただくための参考情報を公開しております。

外務省海外安全ホームページでは、海外渡航にあたっての危険情報は、以下の表示で発せられています。

レベル1

十分注意してください。

レベル2

不要不急の渡航は止めてください。

レベル3

渡航は止めてください。(渡航中止勧告)

レベル4

退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)

その他

台湾についての補足情報を以下に掲載します。

台湾桃園国際空港から台北市内への効率的なアクセス方法を解説!
台湾桃園国際空港には2つのターミナルがあり、航空会社によって利用するターミナルが決まっています。乗り継ぎなどで2つのターミナル間を移動する際には、スカイトレインが便利です。 桃園空港から台北市内への効率的なアクセス手段には、桃園MRT、リムジンバス、タクシーなどがあります。また、桃園空港から台湾各地へ行く場合には台湾高速鉄道が便利です。 桃園空港で乗り換えたり、保安検査後に時間がある場合には、空港直結ホテルや空港ラウンジで過ごすと快適です。
台湾のおすすめ温泉地を紹介!
台湾は日本と同じく豊富な温泉資源を有しています。台湾の温泉は、日本統治時代に開発されたものが多く、日本の温泉文化の影響を受けつつも独自の特色を持っています。 入浴マナーも日本と似ている部分が多いですが、いくつか違うところもあるので、違いを理解しておくと、台湾の温泉をより楽しむことができます。台湾の温泉地は多くありますが、中でも泉質や観光地としての魅力、アクセスの良さ、施設の充実度などから人気の温泉地を、紹介します。
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